うつ病のからだの病気への影響を調べた研究はいくつかあります。
その中で、心筋梗塞・糖尿病・脳梗塞について今回はお話ししていこうと思います。
うつ病と心筋梗塞
うつ病は心臓の血管の病気の発症と、その治療経過に影響することが知られています。
心臓の血管がつまる病気の心筋梗塞の約3割(10人に3人)には、うつが同時にみられます。一般人と比べてうつの併存は多いです。
心筋梗塞にうつが同時に起こると、同時に起こっていない場合に比べて、
- 再発率が約4倍
- 心臓死のリスクが2~3倍
と言われています。
恐ろしくなる数字ですね。
いかに心と体が密接につながっているのかと感じます。
うつ病と糖尿病
糖尿病患者さんの約1割(10人に1人)はうつが同時にみられます。一般人と比べてこちらもうつの併存が多いです。また、逆にうつ病患者さんは一般人の1.6倍ほど2型糖尿病になりやすいとされます。
糖尿病にうつが同時に起きると、同時に起こっていない場合に比べて、
- 死亡率が約1.6倍
- 糖尿病がコントロールしにくい。
と言われています。
うつは、糖尿病にも悪影響があるんですね。
体の病気を良くするためにも、うつの治療が大事だということですね。
うつ病と脳梗塞
脳の血管がつまってしまう脳梗塞という病気のあとには、うつがみられやすいです。
脳のどこの血管がつまってしまうと、うつになりやすいのかという事を調べたアメリカでの研究によると、
- 右より左
- 後ろより前
で血管がつまると、うつになりやすいという結論になっています。
脳は左半分を左半球、右半分を右半球、前の方を前頭葉と呼びます。
左半球の前頭葉のダメージとうつが関係するのかもしれないという事を示唆する興味深い研究です。
今回は「うつと体の病気」というテーマで解説致しました。やはり心と体はつながっているんだなぁと感じる次第です。ほかにも、うつについてわかりやすく説明していますので是非他の記事も読んで頂ければ幸いです。
資格
・日本精神神経学会認定 精神科専門医
・厚生労働省認定 精神保健指定医
・日本医師会認定 認定産業医
・厚生労働省認定 麻酔科標榜医
・日本麻酔科学会認定 麻酔科認定医(2017年~2022年迄)
略歴
愛知県立明和高校卒業後、山梨大学医学部医学科へ進学。卒業後は豊田厚生病院での研修を経て名古屋大学精神科へ入局。その後、大学の関連病院で勤務の後、2022年に大曽根駅前こころのクリニック院長就任。
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