休職をすることになった患者さんは、しばらくするとこういった疑問がでてくるかと思います。
どうなったら復職できるのかしら?
復職にはいくつか目安がありますので、今回はそこを説明しましょう。
復職の目安
こころの病気の種類にもよりますが、下記の目安は共通です。
こころの症状が仕事ができるレベルで改善している。
たとえば、うつ病の場合は、うつの症状で、
- 十分に夜眠れず疲れがとれない。
- 気持ちが毎日落ち込んでいる。
- 体がひどく疲れている。
- 頭が回らず、ミスを繰り返す。
などの問題が出て仕事を続けることが難しくなります。このような症状がそれまでの治療により、仕事ができるレベルで改善していることが重要です。
生活リズムが整っている。
治療のために休職する場合もあります。休職中は治療に専念し、しっかり休むことが大事ですので、睡眠時間も長くなり、生活リズムが乱れてしまうことがあります。
しかし、復職するには仕事をしていたときと同じ時間に起き、同じ時間に寝る生活リズムに戻っていることが重要です。
仕事を継続できる集中力がある。
仕事内容にもよりますが、2時間くらいは集中して作業に取り組めることは大事です。集中力を確認する目的で、復職前の患者さんには、
- どれくらいの時間、連続して読書ができますか?
- パソコンでの作業や趣味にどれくらいの時間取り組めますか?
と質問することもあります。
仕事を継続できる体力がある。
通勤を始めるにあたり、仕事内容にもよりますが、体力の回復は重要です。特に休職をした患者さんの場合には、休職中に体を動かす機会が減って体力が落ちてしまうことがあります。
症状が改善してきた場合には、まずは15分くらいの散歩など軽めの運動からはじめて、体力を元に戻していくこともお勧めしています。
生活リズム・集中力・体力などを確認するために、「生活リズム表」を復職前の患者さんには記入してもらっています。
このようなシートに、
- 何時に寝て
- 何時に起きて
- 日中どのように過ごしたか
などを2週間分ほど記録してもらいます。
この生活リズム表を元にして、
- 睡眠の詳細
- 日中の過ごし方
などから、生活リズム・集中力・体力を確認します。
週に何度も1日中休まないと疲れが取れない場合などは、復職判断を延期することがあります。
今回は復職の目安の説明でした。早く仕事に戻りたい気持ちもわかりますが、焦らずきっちり治すことが重要です。特に
- うつは再発が多い。
- 休職中の傷病手当金が支給される期間は令和4年1月1日から、途中に復職して再び休職した場合でも、支給を開始した日より通算して1年6ヵ月に変わりました。ただし、支給を開始した日が令和2年7月1日以前の場合には、支給を開始した日から最長1年6ヵ月です。
といったことに注意が必要です。
このホームページでは、出来るだけわかりやすく心の病気について説明しています。「うつ」のことや「傷病手当金」のことなど、他の記事もぜひ読んでいただき、病気の理解を深めてもらえれば幸いです。
資格
・日本精神神経学会認定 精神科専門医
・厚生労働省認定 精神保健指定医
・日本医師会認定 認定産業医
・厚生労働省認定 麻酔科標榜医
・日本麻酔科学会認定 麻酔科認定医(2017年~2022年迄)
略歴
愛知県立明和高校卒業後、山梨大学医学部医学科へ進学。卒業後は豊田厚生病院での研修を経て名古屋大学精神科へ入局。その後、大学の関連病院で勤務の後、2022年に大曽根駅前こころのクリニック院長就任。
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