うつ病治療中の夫は、部屋にこもってばかりで心配だわ。気分転換にどこかに連れ出したりした方がいいのかしら??
どう接したらいいかわからず、困りますよね。
今回はうつ病の特徴を踏まえて、接する際の注意点について解説していきます。
注意1 無理に気分転換には連れ出さない。
本人に意欲が出ない間は、気分転換には連れ出さない方がいいです。
うつの症状で、
- 疲れやすい。
- 喜びを感じにくい。
- 物事を否定的に考える。
- 自分を責めやすい。
といった特徴があります。そのため、
ちょっとしか動いてないのに疲れてしまった。ここまで来ても楽しく感じない僕は、家族に迷惑ばかりかけるダメなやつだ・・・
というように、
- 外出先ですぐに疲れてしまう。
- 楽しめない。
- 家族が気を使っているのに、楽しめない自分を責めてしまう。
となってしまうこともあります。
「とにかく横になってゆっくり休みたい。」というのが患者さんのやりたいことである事もしばしばです。
その後、うつが改善してきて、本人に「外出してみたいな。」という意欲が戻ってきた段階で、軽めの散歩くらいからはじめるのが良いでしょう。
注意2 元気そうな見た目はあてにならない。
うつ病は、骨折など体の病気と違い、見た目ではわかりません。
また、本当に調子が悪いときには、お風呂に入ることや歯磨きもできなくなり、家から出てこれなくなることもあります。外であなたと会うときには、少なくとも外出できる程度に回復しているときなんです。
それを知らずに、
思っていたより、元気そうで良かったわ。
という何気ない発言が本人を深く傷つけてしまうこともありますので、注意してください。
注意3 うつ病だからと言って、過度に気を遣い過ぎない。
うつ病の症状の、
- 物事を否定的に考える。
- 自分を責めやすい。
という特徴から、周りの気遣いに対して、
家族に気を遣わせてしまって、申し訳ない。迷惑ばかりかけている・・・
などと、考えてしまうこともあります。
注意して見守りつつも、気を遣い過ぎない方がいいです。
注意4 「死にたい。」などの発言があれば入院も検討。
うつ病は、
- 約3人に2人は、「消えたい」など自殺について考える。
- 実際に自殺を行う方もいる。
命にかかわる病気です。
もし、その兆候に家族や友人が気づいたら、すぐに病院に受診させてください。症状によっては、その日のうちに紹介状を作成して、入院になることも覚悟してください。病気の症状で自殺してしまうという最悪の事態を避けることが最優先です。
最後に、あたたかく見守る。
大切な人がうつ病になってしまい、周りも心配だし、不安だとは思います。また、うつ病は治るのに時間もかかります。でも、何とかしてあげたい気持ちが先走って、逆に本人の負担になってしまうこともあります。
本人を信じ、本人のペースで回復していくのを暖かく、長い目で見守ってあげてください。
このホームページでは、出来るだけわかりやすく心の病気について説明していますので、他の記事もぜひ読んでいただき、病気の理解を深めてもらえれば幸いです。
資格
・日本精神神経学会認定 精神科専門医
・厚生労働省認定 精神保健指定医
・日本医師会認定 認定産業医
・厚生労働省認定 麻酔科標榜医
・日本麻酔科学会認定 麻酔科認定医(2017年~2022年迄)
略歴
愛知県立明和高校卒業後、山梨大学医学部医学科へ進学。卒業後は豊田厚生病院での研修を経て名古屋大学精神科へ入局。その後、大学の関連病院で勤務の後、2022年に大曽根駅前こころのクリニック院長就任。
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