うつ病の治療開始後、抗うつ薬を飲んではいるけど、病気になる前の自分に戻ったように活動出来るようになってくると、
もう薬を辞めても大丈夫じゃない?
薬を飲む意味あるのかしら?
という考えが出て来るのが自然ですよね。
いつまで抗うつ薬を飲むのが適切なのでしょうか?
これについては研究によって以下のように推奨されています。
研究では、うつ病になった人をフォローし続け、薬を飲み続けた人と薬を中断した人の再発について調べています。その結果、はじめてうつ病になった人の場合、治ったという状態になった後、6か月後、1年後、2年後までは薬を続けている患者さんの方が、薬を中断した患者さんよりも再発が少ないことが示されています。
そのため、はじめてうつ病になった患者さんについては、治った後も最低6か月、2回以上うつ病になっている患者さんについては、治った後も最低2年間の内服が勧められています。
以下の点にも注意が必要です。
回復してすぐに抗うつ薬を中断すると、約50%の患者さんが3~6か月以内に再度うつになったという結果になっています。一方で抗うつ薬を続けた場合、中断した場合に比べて再度うつになるリスクを半減させる効果が確認されています。
再発予防のために内服する量については、治療に使う標準量が推奨されていて、標準量以下に減らす事を支持するデータはありません。
いかがでしたでしょうか? 意外と長くてびっくりしたかもしれませんが、うつ病は再発が多く、長く付き合っていく病気です。きちんとした研究データをもとに安心して内服を続けて頂ければと思います。
※この記事では一般の方でも読みやすいように、あえて「再発」と「再燃」を分けずに執筆しています。
資格
・日本精神神経学会認定 精神科専門医
・厚生労働省認定 精神保健指定医
・日本医師会認定 認定産業医
・厚生労働省認定 麻酔科標榜医
・日本麻酔科学会認定 麻酔科認定医(2017年~2022年迄)
略歴
愛知県立明和高校卒業後、山梨大学医学部医学科へ進学。卒業後は豊田厚生病院での研修を経て名古屋大学精神科へ入局。その後、大学の関連病院で勤務の後、2022年に大曽根駅前こころのクリニック院長就任。
詳しいプロフィールはこちら》